2022
Feb
16
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2022年6月から始まるネット通販でのサブスク規制
〔特定商取引法の改正とサブスク規制〕
2021年に通信販売などを規制している特定商取引法が改正され、インターネット通販における契約の申込み段階のいわゆる「最終確認画面」において、①事業者に、一定事項の表示を義務付けること、②消費者を誤認させるような表示を禁止すること、③これらに違反する表示によって、消費者が誤認をして契約した場合には、契約を取り消すことができることになりました。
この改正は、通信販売の申込みの最終段階での表示が、消費者に契約内容を最終的に確認させるという重要な役割を担うものであることから、消費者が必要な情報につき一覧性をもって確認できるようにするために行われたもので、2022年6月1日から施行されます。
〔ネット通販の最終確認画面における「分量」の表示義務〕
①サブスクの提供期間や、期間内に利用可能な回数が定められている場合にはその内容の表示が必要となります。
②無期限のサブスクの場合には、その旨を明確に表示する必要があり、この場合には、あくまでも目安にすぎないことを明確にした上で、1年単位の総分量など、一定期間を区切った分量を目安として明示することが望ましいとされています。
③自動更新のある契約である場合には、その旨も加えて表示する必要があります。
〔ネット通販の最終確認画面における「対価」の表示義務〕
①無償又は割引価格で利用できる期間を経て、期間経過後に有償又は通常価格の契約内容に自動的に移行するような場合には、有償契約又は通常価格への移行時期及びその支払うこととなる金額が明確に把握できるようにあらかじめ表示する必要があります。
②無期限のサブスクリプションの場合には、あくまでも目安にすぎないことを明確にした上で、1年単位の支払額など、一定期間を区切った支払総額を目安として明示するなど、消費者が容易に認識できるように表示しておくことが望ましいとされています。
〔ネット通販の最終確認画面における解約に関する事項の表示義務〕
①解約の申出に期限がある場合にはその期限、また、解約時に違約金その他の不利益が生じる契約内容である場合には、その旨及び内容を表示する必要があります。
もっとも、最終確認画面において消費者が明確に認識できるようなリンク表示をし、かつ、リンク先に明確に表示することは差し支えありませんので、一言一句すべてを最終確認画面に表示する必要はないとされています。
ただし、解約方法を特定の手段に限定する場合、とりわけ、消費者が想定しないような限定がなされる場合(例:電話した上で更にメッセージアプリ等を操作する必要がある、消費者から追加の個人情報を提出しなければならない等)や、解約受付を特定の時間帯に限定している、消費者が申込みをした際の手段に照らして当該消費者が容易に手続を行うことができると考えられる手段での解約連絡を受け付けない等の場合には、当該内容については、特に消費者が明確に認識できるよう、リンク先の表示に委ねるのではなく、最終確認画面においても明確に表示することが必要です。
②解約方法の限定については、仮に特定商取引法の規制に従った表示をしていたとしても、そのような限定が民事的に有効となることを意味するものではありません。したがって、不当に消費者の権利を制限し又はその義務を加重するような解約方法の限定は、消費者契約法により無効となることがあります。
③解約方法として、例えば電話による連絡を受け付けることとしている場合には、確実につながる電話番号を掲載しておく必要があり、最終確認画面に表示された電話番号に消費者から電話をかけても一切つながらないような場合や、窓口担当者に用件を伝えて折り返しの連絡を依頼した後に一向にその連絡がないような場合は、事業者が、不実の表示を行ったとされるおそれがあります。
〔最終確認画面に、表示義務の対象事項について、人を誤認させるような表示をしてはならない〕
①「人を誤認させるような表示」に該当するかどうかは、その表示事項の表示それ自体並びにこれらが記載されている表示の位置、形式、大きさ及び色調等を総合的に考慮して判断されます。
また、特定の文言等の表示のみからではなく、他の表示と組み合わせて見た表示の内容全体から消費者が受ける印象・認識により総合的に判断し、消費者が誤認するような表示方法であれば「人を誤認させるような表示」に該当するおそれがあります。
特に、「お試し」や「トライアル」などと殊更に強調する表示は、一般的な契約と異なる試行的な契約である、又は容易に解約できるなどと消費者が認識する可能性が高いため、これに反して、実際には継続的な利用が義務づけられていたり、解約に条件があり容易に解約できなかったりする場合には違法とされる可能性が高くなります。
②「いつでも解約可能」などと強調する表示は、消費者が、文字どおりいつでも任意に指定する時期に無条件で解約できると認識するため、実際には解約条件等が付いているにもかかわらず、「いつでも解約可能」などの表示をした場合には、「人を誤認させるような表示」に該当するおそれがあります。
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