2020
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令和2年度 宅地建物取引士資格試験 「権利関係」の問題分析〔その3〕(問6~10)
《問6》錯誤取消
民法改正により、錯誤に関するルールが整備されましたので、そこから出題されました。もっとも、錯誤に関する民法改正は、基本的には従来の最高裁の考え方や解釈論を条文化したものですので、実質的な変更ではありません。
肢1と肢4が表意者に重過失がある場合の取消の可否、肢2と肢3がいわゆる動機の錯誤の場合の取消の可否になり、論点としては比較的簡単ですが、事例問題の形式なので、(特に肢2~4は)論点にうまく結びつけられるかが難しいかもしれません。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「比較的難しい」問題になりますので、肢2と肢3の事例の違いからひらめきたい問題と言えます。
《問7》保証
問2に続いて保証が問われていますが、保証の中でも非常に細かい知識を問う難しい問題です。
肢1、肢3、肢4は非常に難しい肢ですが、肢2が×肢であることは比較的簡単に分かります。
以上から、問題全体の難易度としては「すごく難しい」問題ですが、正解にたどり着けるという意味では「比較的簡単」な問題になりますので、合格するためには正解しておきたい問題(マスト問題)と言えます。
《問8》相続
例年出題されている相続の中から、相続法の改正とは関係のない点について問われた問題です。
肢1は、相続回復請求というマイナーな分野で難しい肢、肢2と4は代襲相続で、再代襲の有無というやや細かい論点に関する肢、肢3は相続順位という基本的な知識を問う肢でした。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「比較的難しい」問題になりますので、肢2と肢4の事例の違いからひらめきたい問題と言えます。
《問9》売買と負担付贈与
有償・双務契約である「売買」と無償・片務契約である「贈与」に関して、贈与が負担付となった場合(有償・双務化します)の比較という問題ですが、負担付贈与というなかなかマイナーな分野が問われています。
肢1は手付解除のごく基本的な知識なので間違えてはいけない肢ですが、肢2はやや細かな知識の引っ掛け問題、肢3と肢4も細かな知識を問う問題でした。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「比較的難しい」問題になりますが、負担付贈与の有償・双務性から答えを導き出したい問題と言えます。
《問10》時効
肢1から肢3までが取得時効、肢4が消滅時効について問う問題ですが、いずれの肢も、問題文は比較的簡単で、基礎知識だけで解ける、非常に予備校的な問題と言えます。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「すごく簡単」な問題になりますので、合格するためには正解しないといけない問題(スーパーマスト問題)と言えます。
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