2020
Oct
19
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令和2年度 宅地建物取引士資格試験 「権利関係」の問題分析〔その2〕(問1~5)
《問1》囲繞地通行権
問1から、いきなりマイナーな分野の出題でした。
肢2~4は、最高裁判例の知識なども必要でやや難しい肢になりますが、肢1は囲繞地通行権の中では基本的な知識になりますので、相対的に「正しい」肢として選びやすいと思います。
以上から、問題全体の難易度としては「比較的難しい」ですが、正解にたどり着けるという意味では「比較的簡単」な問題になりますので、合格するためには正解しておきたい問題(マスト問題)と言えます。
《問2》保証
民法改正により、保証人保護のルールが多数できましたので、出題が予想される分野でしたが、やはり出題されました。改正民法をケアしていた人からすれば比較的簡単な問題になったと思います。
肢1と肢3は改正に関係のない基礎知識、肢2と肢4は改正内容の基礎知識で、(やはり)改正内容が絡む肢4が「正しい」肢で正解でした。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「比較的簡単」な問題になります(改正民法をケアしていなかった人でも肢2と肢4の二択までは絞れます。)ので、合格するためには正解しておきたい問題(マスト問題)と言えます。
《問3》債務不履行解除(判決文問題)
民法改正により、最高裁の考え方の多くが条文化されたことで、判決文問題が出題されるかどうか不明でしたが、出題されました。
肢1と肢2が判決文の読み取りで解ける肢、肢3と肢4は、判決文と直接関係のない、民法改正で明文化された解除の規定の内容に関する肢でした。
判決文自体が比較的短くて内容的にも分かりやすいので、肢2が誤っている肢と選びやすかったと思います。ちなみに、判決文問題では、判決文の読み取りで解ける肢(本問で言えば肢1と肢2)と、判決文と直接関係のない知識で解ける肢(本問で言えば肢3と肢4)が混じっていることがほとんどですが、正解の肢は、判決文の読み取りで解ける肢のどれかであることが多いです(そうしないと判決文を掲げた意味がなくなる・・・)。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「すごく簡単」な問題になりますので、合格するためには正解しないといけない問題(スーパーマスト問題)と言えます。
《問4》建物賃貸借と民法
民法改正により、賃貸借契約の原状回復義務や敷金に関する規定がいくつか設けられましたが、その点についての問題です。
もっとも、いずれの改正規定も、従来の解釈を明文化したもので、内容的に新しくなったわけではありませんし、一般常識的な知識でもありますので、改正の勉強をしていなかった人でも十分対応できる基本的な問題だったと思います。
以上から、問題全体の難易度としても、正解にたどり着けるという意味でも「すごく簡単」な問題になりますので、合格するためには正解しないといけない問題(スーパーマスト問題)と言えます。
《問5》委任
委任は、宅建の出題分野としてはマイナーですが、実務的には(準委任を含めて)非常にポピュラーな分野です。
肢2(×肢)は基礎知識なので、これは間違えてはいけません。肢4(×肢)は、応急措置の規定を知らなくても、受任者の相続人が当然に地位を承継することにはならないだろうと判断できますので、比較的簡単な肢になります。他方で、肢1は536条2項(危険負担)の知識が必要なので非常に難しい肢、肢3も改正が絡む細かい知識が必要なので非常に難しい肢になります。
以上から、問題全体の難易度としては「比較的難しい」問題ですし、正解にたどり着けるという意味では「すごく難しい」問題になりますので、肢1と肢3の2択に絞って、正解率を5割まで上げておきたい問題(2択問題)と言えます。
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