弁護士上田孝治の“ 法律あれこれBLOG ”

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《宅建試験対策21》賃借物の修繕と一部滅失等による賃料の減額に関する民法改正

賃借物の修繕・表1賃借物の修繕・表2
≪改正されたポイント≫
a)賃貸借契約において、賃貸人は、賃借人に対して、目的物を使用収益させる義務を負っており、その結果として、必要な修繕をする義務を負うことになります。
 この点、「賃借人」の責めに帰すべき事由によって賃借物の修繕が必要となった場合にまで賃貸人が修繕義務を負うかについては、改正前は規定がありませんでした。
 しかし、改正により、「賃借人」の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となった場合は、賃貸人は修繕義務を負わないことになりました。

b)賃貸借契約において賃借物を修繕できるのは、本来的には賃借物の管理権限を有する賃貸人だけのはずです。したがって、改正前は、「賃借人」が修繕できる場合についての規定はありませんでした。
 しかし、改正により、例外的に賃借人が修繕できる場合(賃借人の修繕権限)が2つ認められました。1つ目は、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときで、2つ目は、急迫の事情があるときです。
 なお、修繕が必要となった理由が、賃借人の責めに帰すべき事由によるかどうかを問わず、これらの2つの賃借人による修繕は可能です。もっとも、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となった場合(=「賃貸人」に修繕義務がない場合)に、賃借人が修繕を行っても、賃貸人に対する費用償還請求権は発生しません。

c)賃借物の一部滅失などによって、賃借物の利用ができなくなった場合の賃料の扱いについて、改正前は、賃借人の過失によらずに賃借物が「一部滅失」したときは、賃借人は、滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を「請求」できるとしていました。
 これに対して、改正後は、賃借物の一部滅失の場合だけでなく、その他の事由により「使用収益できなくなった」場合も、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、使用収益できなくなった部分の割合に応じて、「当然に」(=請求によってではなく)減額されることになりました。







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Author : 上田 孝治(Koji UEDA)

‣2003年 弁護士登録
‣神戸さきがけ法律事務所 代表弁護士
‣宅建試験対策講座 講師
‣芦屋市都市計画審議会 委員
‣国民生活センター 客員講師
‣兵庫県サイバー犯罪対策ネットワーク 特別会員

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