2020
May
21
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販売預託商法、原則禁止へ 消費者庁、検討会で合意(2020年5月20日のニュース)
「YAHOO! ニュース」(共同通信)によれば、消費者庁の有識者委員会が、いわゆる預託商法について、原則禁止の方向で制度を見直すことで合意し、新しい規制の枠組みを消費者庁が今後詰め、2021年の通常国会での預託法などの改正を目指す、とのことです。
いわゆる「預託商法」としては、かつては、豊田商事事件があり、その後、八葉物流事件、近未来通信事件、ふるさと牧場事件、安愚楽牧場事件、ジャパンライフ事件、ケフィア事業振興会事件など、実に多くの消費者被害を生じさせてきました。私自身も、これらの事件に代理人として関わったこともありますし、これら以外の預託商法事件にもいくつも関わってきました。
元々、預託商法に関しては、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」(預託法)という「スーパーざる法」がありました。具体的には、規制対象が政令で指定された「特定商品」(宝石類、自動販売機などの9種類のみ)に限られ、規制内容としても、①概要書面および契約書面の交付、②重要な事項についての不実告知、故意に事実を告げない行為の禁止、③威迫する言動を交えた勧誘や、契約解除の妨害行為の禁止、④預かった商品や利益の支払い拒否や、不当に遅延させる行為の禁止、⑤財務関係書類の閲覧請求権などに限られ、参入規制(登録制など)が全くないという「ざる」っぷりでした(そりゃ、預託商法被害も多発するでしょうよ・・・)。
預託商法による消費者被害は、だいたいパターンが決まっていて、「超低金利でお困りでしょう。高配当のいい話がありますよ」と消費者(特に、預金の高利子時代を体感してきた高齢者)を勧誘し、出資名目でお金を出させ、しばらくの間は、当初約束していたとおりに配当的なものを支払いますので、消費者は、その期間で「まともな商法」だと信じ込まされるわけです。こうして信じ込まされたあたりのタイミングで、「もう少し追加してはどうですか?」と、消費者に資金を追加させますが、しばらく経ったころに、配当的なものの支払いが徐々に減額あるいは滞りはじめます。消費者から、「どうなっているのか」と問い合わせがあれば、もっともらしい理由をつけて、「〇月まで待ってください」などと言って時間を引き延ばし、信じ込まされている健気な消費者が言われたとおりに待っていると、今度は連絡すらつかなくなり、多額の被害が確定するというパターンです。
ということで、預託商法を規制すべく、消費者庁が、2020年2月から「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」を開催し、今般、原則禁止の方向で制度を見直すことで合意したという流れです。当初、消費者庁自身はあまり規制に乗り気ではなかったようなので、このような検討委員会の方向性自体はたいへんよかったと思いますが、今後の具体的な制度設計の場面で、実質的に骨抜きということにならないように、法制化の際には厳しく目を光らせなければなりません。
なお、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(消費者庁)のサイトのリンクを張っておきます。
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