弁護士上田孝治の“ 法律あれこれBLOG ”

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《宅建試験対策10》保証債務の性質(多数当事者の債権・債務)に関する民法改正

保証債務の性質・表1保証債務の性質・表2保証債務の性質・表3

≪改正されたポイント≫
a)保証債務には付従性がありますので、改正前から、保証人は、主債務者が有する抗弁権を援用できる(例えば、主債務者が同時履行の抗弁権を有している場合、保証人も支払を拒絶できる)と解釈されており、このような趣旨から、条文上も、「相殺」についての規定がありました。
 改正後は、条文上も「相殺」に限定せず、保証人は、主債務者が主張できる「抗弁全般」を債権者に対抗できるという規定になりましたので、実質的な変更ではありませんが、従来の解釈を明文化したものと言えます。
 もっとも、主債務者が、その意思表示をすることによって債務を免れることになる「相殺権、取消権、解除権」という権利を有している場合、それらの権利を有していない保証人が、自ら権利を行使することまで認めるのは行き過ぎであると従来から考えられていました。
 そこで、改正民法は、このような考え方を前提に、主債務者が「相殺権、取消権、解除権」を有する場合には、これらの権利を行使することによって主債務者が債務を免れる限度で、保証人が債権者に「履行を拒める」という規定を新たに設けました。

b)保証には、普通保証(単なる保証)と連帯保証(主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人)とがあります。
そして、主債務者に生じた事由は、原則として保証人(連帯保証人を含む)に影響を及ぼすのに対して、保証人(連帯保証人を含む)に生じた事由は、原則として、主債務者には影響を与えません。
 もっとも、保証人(連帯保証人を含む)に生じた事由のうち、債権者を満足させる事由(弁済、相殺、更改の3つ)については、例外的に主債務者に影響を及ぼし、主たる債務も消滅することになります。
 さらに、改正民法では、保証のうち、「連帯保証」については、この3つに加えて、「混同」も主債務者に影響を及ぼすとなっていますので、全部で4つの例外があることになります。
 なお、改正前は、連帯保証については、これらの4つ以外に「請求」も主債務者に影響を及ぼす(全部で5つの例外あり)とされていましたが、改正により「請求」は相対効に変わりました。したがって、「連帯保証」と「連帯債務」は、いずれも、①弁済、②相殺、③更改、④混同の4つだけが絶対効になりましたので、改正前と比べると覚えやすくなっています。

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Author : 上田 孝治(Koji UEDA)

‣2003年 弁護士登録
‣神戸さきがけ法律事務所 代表弁護士
‣宅建試験対策講座 講師
‣芦屋市都市計画審議会 委員
‣国民生活センター 客員講師
‣兵庫県サイバー犯罪対策ネットワーク 特別会員

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