弁護士上田孝治の“ 法律あれこれBLOG ”

最新のニュースを法律的に徹底分析・解説!宅建業・不動産・相続に関する実務や不動産関連資格取得に役立つ情報を提供! and more・・・

-

《宅建試験対策6》消滅時効の起算点と時効期間(時効)に関する民法改正

消滅時効の期間(表1)消滅時効の期間(表2)

≪改正されたポイント≫

a)改正前は、「債権」についての消滅時効の期間は原則として10年で、この期間は「権利を行使することができる時から」カウントするとされていました。この「権利を行使することができる時」とは、客観的に権利行使できる状態を意味しますので、「権利行使できることを知っていたかどうか」という本人の主観的な事情は無関係でした。

 改正により、これまでの「権利を行使することができる時(客観的起算点と言います)から10年」とは別に、「権利を行使できることを知った時から(主観的起算点と言います)5年」という期間が設けられ、この2つのいずれか早い方がくれば、時効によって債権が消滅することになります。


b)改正後の債権の消滅時効は、主観的起算点で5年、客観的起算点で10年の組み合わせが原則になりますが、いくつかの例外があります。

 その例外の1つに、「債務不履行に基づく損害賠償請求権」のうち、損害の内容が人の生命又は身体の場合があります。人の生命や身体への危害は、財産への被害と比べるとより保護されるべきという考え方から、主観的起算点の5年は同じですが、客観的起算点(権利を行使することができる時から)については20年に期間を延ばしています。

 なお、(債務不履行ではなく)「不法行為」に基づく損害賠償請求権については、知った時から3年、不法行為の時から20年というのが原則的な消滅時効期間になっています。しかし、改正後は、この例外として、人の生命又は身体に危害を加えた場合の不法行為に基づく損害賠償請求権については、知った時から「5年」、不法行為の時から20年の消滅時効期間(知った時からカウントする方の期間を5年に延ばす)が定められました。

 結局のところ、人の生命又は身体が損害となっている場合の損害賠償請求権は、債務不履行・不法行為のどちらの法律構成であっても、消滅時効は5年と20年の組み合わせになり、同じ扱いをすることになります。

関連記事
My profile

Author : 上田 孝治(Koji UEDA)

‣2003年 弁護士登録
‣神戸さきがけ法律事務所 代表弁護士
‣宅建試験対策講座 講師
‣芦屋市都市計画審議会 委員
‣国民生活センター 客員講師
‣兵庫県サイバー犯罪対策ネットワーク 特別会員

リンク

兵庫県神戸市中央区播磨町49番地  神戸旧居留地平和ビル7階      TEL 078-381-5065

BLOG Ranking 参加中

クリックお願いします!

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文: