2022
Aug
15
-
2022年9月1日施行!「不動産の表示に関する公正競争規約」の改正〔その4〕 ~物件名称の使用基準、二重価格表示に関するルール~
〔物件名称の使用基準の緩和〕
マンションの名称については、表示規約で、物件の最寄り駅の名称などを用いることができるとされていますが、2点ほど改正されています。
1点目は、改正前は、物件が公園・庭園・旧跡などの「施設」から直線距離で300m以内の場合に、これらの「施設」の名称を用いることができるとされていた規定について、「海(海岸)、湖沼、河川の岸若しくは堤防」についても直線距離で300m以内にあれば、これらの名称を用いることができるという改正です。
2点目は、改正前は、「街道その他の道路の名称(坂名を含む。)」について、物件が面していないと用いることができないとされていましたが、直線距離で50m以内であれば、これらの名称を用いることができるという改正です。
〔販売価格の二重価格表示に関する基準〕
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について、改正前は、以下の要件を満たす場合にのみ表示が認められていました。
なお、賃貸物件についての賃料値下げの二重賃料表示はそもそも認められていません。
①過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示
②比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3ヶ月以上前に公表された価格で、かつ、値下げ前3ヶ月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること
③値下げの時期から6ヶ月以内に表示するものであること
④土地又は建物について行う表示であること
これが改正によって、次のような要件を満たす必要があることになりました。
① 過去の販売価格の「公表日」及び「値下げした日」を明示すること
※「公表時期」が「公表日」に、「値下げの時期」が「値下げの日」へとそれぞれ改正されました
②比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの「直前の価格」であって、値下げ前「2ヶ月以上」にわたり実際に販売のために公表していた価格であること
※「3ヶ月以上前に公表された」が「直前の」に、「3ヶ月以上にわたり実際に販売」が「2ヶ月以上にわたり実際に販売」へとそれぞれ改正され、販売実績期間が少し緩和されています。
③「値下げの日」から6ヶ月以内に表示するものであること
※「値下げの時期」が「値下げの日」へと改正されました
④「過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められるものであること」
※物件の価値の同一性という要件が新設されていますので、物件の価値そのものが変わってしまった場合には、基礎事情が変わっていることになり、二重価格表示はできません
⑤土地又は建物について行う表示であること
- 関連記事
-
- 〔マンション裁判例紹介〕管理規約に規定されたコミュニティ費用の支払義務があるとした「東京地裁令和3年9月9日判決」 (2022/09/15)
- 不動産賃貸借契約における連帯保証人の極度額はどのように定めればよいか (2022/08/23)
- 2022年9月1日施行!「不動産の表示に関する公正競争規約」の改正〔その4〕 ~物件名称の使用基準、二重価格表示に関するルール~ (2022/08/15)
- 2022年9月1日施行!「不動産の表示に関する公正競争規約」の改正〔その3〕 ~施設までの距離や時間表示に関するルール~ (2022/08/12)
- 2022年9月1日施行!「不動産の表示に関する公正競争規約」の改正〔その2〕 ~交通機関の所要時間に関するルール~ (2022/08/11)